リリースノート

セルイラストレータ5.0における新機能

セルイラストレータ5.0ではGUIインタフェース全体を見直して新たに再実装・機能追加を行っています。ドッキングフレームワーク、ダブルクリックによる最大化などによりより狭いディスプレイでも簡単にモデルを編集できるようになっています。また、内部データ構造を見直すことで、利用するメモリの効率化、またより高速な読み込みと描画を行えるようになりました。

セルイラストレータ4.0では、CSMLDBの検索機能はありましたが、用意されたデータベースのみを検索する機能でした。セルイラストレータ5.0では、キャンバス上で作成したパスウェイモデルをデータベースとして登録、管理できるようになりました。この機能により、独自のパスウェイデータベースを作成、共有することができます。また、複数のモデルを1つのデータベースに登録することで大規模な独自のデータベースを作成することができます。

セルイラストレータ 4.0 のデータフォマットは CSML 3.0 でしたが、CSML 3.0の一部の機能しか利用していませんでした。セルイラストレータ 5.0ではそのすべての機能を利用することができます。たとえば、Entityのタイプに応じでより詳細な生物情報を設定することができるようになりました。具体的には、smallMoleculeを指定すると、化学構造式を指定することができます。

前述のCSML 3.0のフルサポートにより、1つのCSMLファイルで複数のサブネットワークを保存することができるようになりました。たとえば、代謝経路、シグナル伝達経路の2つからなるモデルの場合、代謝経路、シグナル伝達経路それぞれを異なるサブネットワークとして同一のファイルに保存することができます。さらに、これらのサブネットワークはシミュレーション時には1つのモデルとして統一して実行することができます。これにより、より大規模なネットワークをさまざまなフォーカスから解析することができるようになりました。また、各サブネットワークはキャンバス上では複数のタブとしてスマートに管理されています。なお、異なるサブグラフ間で同じエレメントを異なるオブジェクトで表示することができます。

前述のCSML 3.0のフルサポートにより、セルイラストレータ4.0までは2つのモード(パスウェイモードと遺伝子ネットワークモード)で扱っていたパスウェイモデルを1つの統合されたモデルとして扱うことができるようになりました。この機能により、シミュレーションにはかかわらないが、生物学的に重要な要素間の関係などを1つのモデルで包括的に扱えるようになりました。

セルイラストレータ4.0まではスクリプト言語として、pnutsを採用していました。セルイラストレータ5.0ではより汎用的なスクリプト言語をサポートするフレームワークに改良されました。これにより、javascript, jython, java, pnutsをサポートするとともに、これらのスクリプト言語を1つのモデルないで混在して利用することができるようになりました。この機能により、各ユーザが慣れ親しんだスクリプト言語を用いて高度なパスウェイモデルを作成することができるようになりました。

セルイラストレータ5.0では研究によって開発された、より高度なグリッドレイアウトを適用することができるようになりました。さらに、重なっているエッジを自動的に判別して折り曲げるレイアウトが追加されました。

最新版のリリース情報をダウンロードする (PDF、60KB、英語)


セルイラストレータ4.0における新機能

セルイラストレータ 4.0 は Java Web Start を採用することで、インターネットを経由した、 web サイトからの直接起動ができる「セルイラストレータ オンライン」になりました。ネットワーク上にセルイラストレータ オンライン サーバが設置されたことで、セルイラストレータのワークベンチから使用することができる様々なオンラインサービスを提供します。セルイラストレータ オンライン サイト: http://cio.bioillustrator.com/cifileserver/apps/usersman/main または http://cionline.hgc.jp

CI プロジェクトマネージャ は、作成した CSML モデル (パスウェイ) や関連するあらゆるデータファイルをオンラインに保存するための機能です。保存したオンライン上のデータは、どこから起動したセルイラストレータオンラインからも参照することが可能です。また、アクセスコントロールによって組織内での共有しながらのモデル作成や配布などができます。オンラインディレクトリには、既存のモデルのライブラリーも用意されています。

CSMLDB 検索ダイアログは、CSMLDB データベースに接続する機能を提供します。 CSMLDB データベースは任意の場所に接続できますが、プリセットのパスウェイ CSMLDB も利用できます。 CSMLDB データベースから分子 (エンティティ) や 反応 (プロセス) を検索し、セルイラストレータのキャンバスにインポートしながらのモデル作成は、簡便で迅速でありながら、系統だった再利用性の高いモデルの完成となるでことしょう。

セルイラストレータ 4.0 のデータフォマットは CSML 3.0 になりました。 CSML 3.0 では、より強力な生物的パラメータを扱うことができます。詳しくは、 www.csml.org ウェブサイト (英文) をご覧ください。

SECG (Simulation Engine Code Generator) は、より高速なシミュレーションまたはより大規模なモデルのシミュレーションを実現した新しいシミュレーションエンジンです。一つのシミュレーションモデルに対して複数のパラメータでの連続的なシミューレションを行うことで、最適なパラメータの調整ができます。 また SECG は、セルイラストレータのシミュレーションモデルから実行可能なプログラム言語に変換することができます。これによって、コンピュータプログラムにシミュレーションモデルを組み込むなどの専門的な利用が可能です。

CSMLと Cell System Ontology (CSO) 間の相互入出力を行えるようになりました。この新機能を用いることで、 CSML で表現できるすべての情報を CSO 3.0 形式で扱うことができます。CSO 3.0 は、セマンティック Web 言語である OWL・RDF 言語をもちいて表現されており、よりオントロジー系の解析などをシームレスに行うことができます。

生体内パスウェイをオントロジー言語を用いて表現し、簡単に情報をやりとりするために標準化を目的として開発されている BioPAX level 2 で作成されたモデルをインポートできるようになりました。

セルイラストレータ 3.0 における新機能

セルイラストレータはパスウェイを描くために必要な、350 種以上のシンボル (アイコン) を標準で備えています。 ベクター形式 (SVG) の採用により、これらのアイコンは品質を劣化させることなく拡大・縮小が可能になりました。さらに、SVG 編集用の専用ソフトウェアを同梱し、オリジナルアイコンを作成することもできます。また、SVG の他 TIFF・JPG・PNG・GIF などをインポートして利用することができます。

アイコンのドラッグアンドドロップにより、あたかも絵を描く気軽さで、パスウェイのこまやかな情報整理ができます。高品質なアイコンにより、魅力的なグラフィックを備えたパスウェイモデル制作の効率を飛躍的に高めます。これらのアイコンには、パスウェイのために最適化した世界標準オントロジータームが対応しています。意識することなくオントロジーに基づいたパスウェイナレッジベースを作成でき、再利用・高度知識処理など、その価値を限りなく高めることができます。

パスウェイに現われる遺伝子などの個々のエレメントに PubMed ID・Gene Ontology(GO) ID・UniProt ID・EntrezGene ID・MIM ID・UCSC ID・Ensembl ID・KEGG Gene ID・RefSeq ID・Compound ID を関連付けることで、パーソナルなデータベースを構築することができ、開発と利用を加速できます。

今回新しく追加された遺伝子ネットワークモードにより遺伝子ネットワークの解析の本格的な解析が可能になりました。 ネットワークの比較、リーチャビリティー探索、Partial Residual Plot、などの遺伝子ネットワーク解析に必要不可欠な機能が搭載することで、効率的なパスウェイ解析と新たな発見を強力にサポートします。

セルイラストレータではペトリネットを基に独自開発したアーキテクチャにより、作成したパスウェイのシミュレーションが行われます。今回より正確なパスウェイフローコントロールを目的としたペトリネットエンジンの強化により、連続的な流れを想定したモデルのシミュレーションが容易になりました。

SBML (Systems Biology Markup Language) 、CellML (Cell Markup Language) は、システム生物学の多くのソフトウェアでサポートされているマークアップ言語です。Cell Illustrator (CI) はこれらを一挙に包括する Cell System Markup Language (CSML) を採用しています。したがって他形式で作成されたパスウェイのネットワーク情報をすべて保持したまままるごとインポートすることができ、世界中のパスウェイ情報を CI ひとつで利用可能にします。これにより生産性を飛躍的に向上させ、容易に一貫性を維持することができます。

チャートダイアログボックスの刷新を図ることで、より高機能なシミュレーションが可能になり、さらにシミュレーション結果がより見やすいものになりました。

セルイラストレータ 2.0 における新機能

セルイラストレータ 1.6 における新機能

セルイラストレータ 1.5 における新機能(2004 年 8 月)